叶う瞬間はごく平凡

ずっと結婚したがってて、結婚した、30代半ば女の日記

年寄りの話はしんどい。でも思い出話は少し好き。

祖母は、84歳のTHE高齢者。

年に数回しか会えないから、帰省したときは時間を作るんだけども、話題がないのにおしゃべりで、本当にしんどい。

 

わたしが会話に出す友達は全て「=(イコール)彼氏」におばあの頭の中で脳内変換される。なぜか。

「どこそこの誰だれは二世帯住宅に越した」と興味のない話から「ひ孫たちが小学校にあがるからお金がまた沢山いる」だとかお金の話。

『しんどい時間コンテスト』があれば必ずノミネートするし、「もしここが居場所なら今すぐ逃げ出したいね」ってグレイティストショーマンのフィリップみたいに言いたくなる。

 

わたし「最近、家に、お掃除ロボットを買ったんよ。」

おばあ「買ったけどぜんぜん使ってないが。壊れて、修理に出さなあかんのやけどなんやら1500円必要て言われて、あれ、そんなにかかるん?て思うて〜〜〜」

 

会話にならない。

わたしの近況を話しても全部、自分のことを聞かれたと勘違いして勝手に話し出す。

そして口を開けたら現実的なお金の話。

 

もう、ほんと!…しんどい!!!

 

 

今日はおばあちゃんに行き先を告げずに、

電車とバスと徒歩で連れ出した。

おばあは、車を運転するのだけど、高齢者のまさに社会問題になってる身勝手なドライブなので、

マジで乗りたくない。

 

わたし「最近、会社の近くで高齢者が事故起こしたんやに」

おばあ「事故おこすなんてだいぶ年やろ?」

わたし「70代のおじいさんやて」

おばあ「70代は無茶する年ごろやでなあ」

 

お年ごろ?!!!

……本当に話にならん!!!怒

 

いつか人身事故を起こす前に、自動ブレーキにするか、法律が変わってほしい。

 

 

だから、わたしが運転できればいいんだけど、無理なので電車とバスを乗り継いで地元の温泉行った。おばあと私の唯一の共通点は「お風呂好き」。

電車に乗る前「そんな、近いとこ、行きたないがぁ。」とごねられた。

「あぁ、そ。わたしひとりで行くわ」って言うたら、ついてきた。

なぜかペットボトル4本も持ってた。

貰うふりして持った。…かんべんしてーーー

 

階段はおばあちゃんにはしんどいかなあ、と思いエレベーターを呼んだら「あんた、ちゃんと歩かなあかんに」

と説教された。言い方が半端なく琴線に触れて

キレかけた。

始終、「なんとして行くの?」「なんとして帰るの?バスはくるの?」ってめっちゃうざかった。

 

 

でもまあ、温泉がよくて、

わたしのイライラも源泉かけ流しと一緒に流れた。

おばあも、お湯に浸せば黙る。

 

 

 

そんなしんどさの極みを固めたようなおばあが、帰りの路線バスで

「もっと前の席で景色を見たい!」と言い出した。目の色を変えて。

そのバスの道が、おばあちゃんが現役で幼稚園の先生をしてたころの通勤路だったらしい。車を持ってから何十年も使わなかったバスで、いろんなことを思い出したみたい。

 

おばあ「雪が降るとこの坂が危なてなぁ。子どもたちに“すべったらあかんに、気をつけて”って散々言うたのに、最後おばあちゃんがおりるときスッテーーンて転んで。みーんな笑とったわ。よう覚えとる。」

 

それをうれしそうに話すおばあを見て、

当時まだ女性で働く人が少ない中で、この人は誇りを持って仕事をしてたんだなぁ、子どもたちに慕われてたのかなぁと思って、もっと知りたくなった。

 

ま、会話ができないので、

質問してもむりなんやけど。

 

 

心のどこかでは「車がなくても楽しめるよ」って押し付けがましく伝えたかったのかも。

 

このしんどさの極みみたいな時間も、

あともう50回もおばあに会うことは無いんだろうな、と思うと

 

 

悲しいけど我慢できてしまう。