26歳、2014年7月。
下町のワンルームに引っ越した。
転職もした。
彼氏と別れた後でいろいろ整理がつかずに、
夏に向けて彼氏を探したりしてた。
新しい職場のみなさん、優しくて、仕事は5時に終わり。
さみしい夕食。ありあまる時間。
それまで23時まで、土曜も働いてた私にとっては
生活がガラリと変わって、
戸惑いを隠しきれず。ひとりで晩ご飯を食べたことが無いことに気づく。
暇だから掃除する時間あるので、
いつでも誰でもWellcome!!!My room!!!な状態。
暇って、ほんと良くない。
そんなに仲良くない異性を、
簡単に家にあげちゃったりしちゃったり。
暇だと変な男にひっかかりやすくなるし、
なんなら気づいたら詐欺師とLINEしてたし、
ほんっっと、暇は良くない!
ま、暇つぶしには丁度いいんだけど、
暇つぶしはそれ以上でも以下でもない。
私が暇つぶしている間に、
デザインのコンペに出して、惜しいところまで行った友人は、
社内で評価されて新しい仕事を任せてもらえていたし、
遠距離恋愛でコツコツ彼との信頼関係を深めた別の友人はプロポーズされてた。
やっぱね、
暇つぶしはしょせん、暇つぶしだよ。
さ、本題の詐欺師とメールしてた話に戻ろう。
彼の名前はダイスケ。
起業して若くしてコンサル会社の社長で、29歳。
お弁当つくるのが趣味で、
社員にそれを持って行ってあげるのが好きで、いつか愛する人に
お弁当を作るのが夢。
好きな映画は『塔の上のラプンツェル』。
ウサギを飼ってる。
ブログも持っていて、ビジネスコンサル的な記事が数年前からアップされてた。
LINEはいつも長文。
「文章長くてごめんなさい」みたいな一言がいつも入ってる。
子どもの頃、両親を亡くしていて、暖かい家族が理想だという。
ってここまで聞いて
「え!そんな男、おるわけないっしょ!!!
目を覚ましてーーーー!」
っってビンタしたくなるよね。
わかるよ。
うん。わかる。
でもね…暇な人間って、怖いよ?
気づかないから!
で、1日1通、1週間くらい、メールした頃かな。
「急に、LINEが壊れちゃって(>_<)」とダイスケが言い出した。
変な、文字化けした文章が混ざるようになった。
LINEが…壊れる……!????
ある程度、大学でメディアの基礎知識はしてきたので、
ネットリテラシーというか、インターネットやアプリの基本構造みたいなのは
基礎知識として持ってた。
こいつのLINEアプリだけが、画面が見えなくなるなんてありえない。
スマホか携帯か知らないが、「LINEのみ」が調子悪くなるとか、おかしい。
アプリが変なら、LINE使っている他の人にも同じ症状がでるはずだ。
ダイスケはその後、Gmailのアドレスを教えてきた。
わたしはここで初めて、
「…おかしい」と気づく。
検索する
「ダイスケ 詐欺 社長」
「ダイスケ 詐欺 コンサル」
なかなか見つけられない…
「ダイスケ 弁当 詐欺」
ヒット!
見つけた!全く同じLINEの内容!事例!!!
『出会い系サクラ分析』という怪しい名前のブログ。
まさかの"弁当"でのヒット…!!!
で、もっと驚いたのが、
そのブログに、同じようにLINEがきた人たちがコメント欄で情報交換してんだけど、
ここ2、3日の間に、最終ステージまでいっちゃった人が意外にもいて!!!
「Gmail教えます」ステージで、私は気づいたわけだけど、
その後
「携帯が壊れた」ステージ
「携帯無いので、サイトに誘導、登録」ステージ
「サイト内での課金8万」ステージ、
最終的にダイスケにいろいろあって
「20万円振り込む」
というラスボス面…。
「もう、身分証明書もお金も取られどうしていいかわかりません!!!!! (;_;)」
なんてコメントがふつうに載ってた…。
Oh…my god !!!!!!!
わたし責めないよ。
誰だって、自分を見失って、詐欺にひっかかりかける可能性ってのはあるよ。
「もう、身分証明書もお金も取られどうしていいかわかりません!!!!! (;_;)」
の人に
「バカだな…」って、他人の私でも飽きれるように、
すっっげー惨めなことになる。
でもさ、よく考えて。
悪いのは詐欺師やろ!?
そして同時に思う。
モテないこと×自分を見失う
=防御力がめっちゃ下がる!
パジャマで戦場におもむく感じ!!!!!
詐欺にひっかかったりしたら、かなり人間不振になるだろうよ。
そんなとき「大変だったね…」なんて言って抱きしめてくれる王子様はいないよ。
そんな暖かな状況だったら、ひっかかったりしない。
もしそんな人が現れたら、多分、そいつも詐欺師でしょう。
上手い話はいつも、心に隙間があるときにやってくるものさ。
くっそ暇とかね。
痛い目みると、
「いったいどんな奴が信じられんだよ!?」
って気分になるっしょ。
バカ!って叱ってくれる奴の声も
しょうがないよ…と肯定してくれる奴の言葉も届かないよ。
保身的で痛みを知らない奴の意見なんて、
いつも薄っぺらで正しくて、
よけいみじめになる。
正月に、帰ったとき、
「東京の暮らしはどう?」と親戚に聞かれた。
「うん。たのしいよ。でも、東京はこわいね。ネットワークビジネスや、
詐欺の話とかもきくし。」と話のネタで言ったら、
父が笑いながら
20万したんだって!!!!
いつも響くのは、
失敗を沢山してきて、それでも笑う経験豊富な人生の先輩たちの
言葉かもしれないね。
(27歳の頃 2015年7月の日記より)