朝から入れてた陣痛促進剤の投与も
夕方の今、MAXで
「もうこれ以上の投与は院長はok出さないよ…」とか
ボソボソ助産師さん同士の会話が聞こえてくる。
田中助産師は言う。
「通常から逸脱し始めました」
「本人はやる気あるけど、子宮が疲れてる」
「このままもう少し頑張ってみるか、
帝王切開か、
体力を残すために無痛分娩で痛みを和らげるか…でも無痛はおすすめしない」と。
立ち会いの夫はオロオロ。
あれだけ望んでいた無痛分娩
このタイミングで提案されるのか…
この産院は、基本は経膣分娩(自然分娩)で、
無痛分娩(和痛分娩)は痛みでパニックになった人のみって聞いていた。
「早くおわらせたい。」
あたまによぎる。
赤ちゃんに会いたい、なんて思う余裕はなかった。
自分のことばかり。
それもこれも、赤ちゃんの心拍が問題なかったから、そう思えた。
もしなにかあれば、迷いなく赤ちゃんが無事な選択をしただろう。
陣痛はくる。
いきむ。「目を開けて、声は出さないように」と助言をもらう。応じる。
最強に痛い。赤ちゃんはおりてこない。
陣痛は最強に痛いやつがきてる
いきんでもいるのに、回数が少ない。
子宮口は8センチ。赤ちゃんも高い。
でも薬の影響で陣痛はくる。
「やれることはやります」と助産師さんが言う。
子宮を収縮させる注射を打たれ、
それでも陣痛は遠のき、
最後の方は
1人は子宮連続グリグリ、1人は乳首揉みをはじめ、「え?わたし、魚になった?」って感じの処置。
陣痛を呼ぶ荒技がヤバすぎた。
助産師さんに「やってみたいことがあります」と言われた(たぶんお腹押すやつ)けど
「もう無理です。」と言った。
帝王切開を頼んだ。
「わかりました。ドクターを呼びます。」
ここから、人生で最も長い待ち時間をあじわう。
「あと30分できます」と言われて嘘だろ?!と、思った。
今思うとそりゃそうか、日曜日だから家から呼び出したんだよね。
手術前のドクター到着までが地獄
促進剤は止めたけどまだ体に残ってるから、
陣痛はくるわ、吐くわ、BGMのYouTubeは広告になるわで
「早よ!」「遅刻厳禁やぞ!」「YouTubeプレミアム入っとけや!」と
脳内は罵詈雑言だった。
頭の中は酷い暴言でも、
口から3分おきに出るのは「先生まだですか?」というわたしの泣き言だった。
何十回も聞くので、Youtubeが流れているモニターの
時計の表示が消された。
当直のメガネドクターがきた。
40分経っていたと思う。
「遅刻厳禁て言うたやろ!!」と脳内で叫ぶ。
緊急帝王切開に入るための、同意書サインのための説明を話す
「赤ちゃんも、母体も元気ないまのうちに帝王切開をしましょう!
診断名は分娩停止。ここまで本当によくがんばりました!」とメガネドクター。
「何でもいい!」「もっと早口で話せや!」って理不尽に思う。
「もう切ってくれ!」と侍になる。
説明中も陣痛はドンドコくる
これほどNetflixの動画10秒送りを、リアルで使いたかったことはないや…
夫がサインする。
助産師さんの肩を借りて、意識が朦朧としながらオペ室まで数十歩歩く。
気を失いそう…
つづく