叶う瞬間はごく平凡

ずっと結婚したがってて、結婚した、30代半ば女の日記

出産06 予想もしていなかった、緊急帝王切開になるなんて

f:id:hoshisarami:20230928180327j:image

オペ室へ行くと、緊急で院内じゅうから集められたスタッフさんが迎えてくれた

「よくがんばったね!」「あとは身を任せて!」「もうすぐ赤ちゃんに会えるよ!」と肩を抱いてくれた。

 

気を失いかけで、無反応なわたし。

 

ストレッチャーに寝転がれるか聞かれて、

寝転がる。

わーっと服を脱がされ、手術台に乗せる時、

重かったのでしょう。

ドクターから「うらああああ!」みたいな声が漏れる。ごめん…ドクター…。

 

「はいチクッとしますよー」

麻酔が打たれる。なにも痛くない。それより陣痛がくる!

もう意識が飛びそう…!

 

でもここで飛んだら赤ちゃんの声が聞けないじゃないか!

 

助産師さんに保冷剤をおなか、首、おなか、と当てられて「冷たいですか?」と聞かれる。麻酔の効きを確認してる。

よくわからない。返事ができない。

ドクターから「首から下へ順に当てて聞かないと答えられないでしょう!」とお叱りを受ける助産師さん。

こええ。

 

冷たかったのでうなずく。

おなかあたりは、感覚がよくわからない。

麻酔が効いてるようだ。

 

いつ切られたのか、どんな会話してたのかこの辺は覚えてないのだけど、

気がついたら「アーーー!!!」と元気そうな赤ちゃんの泣き声と、その場に居た人みんなの歓声が聞こえた。

同時にメガネのドクターの「背ぇ、高っか!」という声も。

 

「本当にお腹の中にいたんだ、お腹の中から生まれてきた。

私と彼の赤ちゃんが。

泣いている。

大きな声をあげてきっと元気だ。」

声を聞いただけで、子どもみたいにワンワン声を出して泣いた。すごい勢いで泣いた。

 

赤ちゃんと初めて会った。

黒くてキレイな目でこっちをじっと見てた。

わたしは0.04の視力で、メガネもどっかいっちゃってから、よく見えないけど

「本当に生まれてきてくれありがとう!」と思ってまた泣いた。

 

不妊治療してたときから、ずっと会いたかった。

わたしと大好きな人との赤ちゃん。

なんて可愛いの。

 

帝王切開だったから、カンガルーケアと呼ばれる、抱っこができなかった。でもいいの。となりに来てくれた。

 

赤ちゃんは一旦、助産師さんが連れていった。

 

 

感動に浸りつつ、手術は終盤へ。

どうもお腹を閉じているらしい。

また意識がフワーッと遠のきそうになる中で、

ドクター2人が

「いやあ、新しい縫合の仕方を勉強会で見てきてね」

「本当ですか?!」みたいな勤勉で軽快なドクタートークが始まり、

師長さんに「まだ最中ですよ!」と注意を受ける2人を耳にしたところで、

すううーッと意識が遠のいていった。

 

 

すごいスピードで圧ソックスを履かされ、

血栓防止のマッサージ機も足につけられ、パジャマも着せてもらった。

 

 

……ブルブルっ!!

震える。全身がガクガクブルブルする。

ベッド硬い。幅狭い。落ちる…!

まだオペ室のようだ。

 

夫がいつの間にか隣にいた。

赤ちゃんも。

 

夫が手を握ってくれた。

おつかれさま、みたいなことを、言ってくれた気がする。

 

赤ちゃんは、黒いおめめでこちらをジッ…と見ていた。

意識が朦朧として、安心感と一緒にまた眠ってしまった。